2023 ⁄ 08 ⁄ 31

ひと昔前の運搬方法

今はトラックで畑に入り、みかんや肥料を運ぶのもとても便利な時代になりました。

しかし、私が子供の頃のおよそ20年前までは『架線』と呼ばれる写真の設備でみかんを運んでいました。

架線は山と山の間に設置した小さなロープウェイのようなものです。

長いものでは300m程あります。上からは重さのある収穫したみかんを下ろし、下からは空のコンテナを上げます。

 

 

一度に3つのコンテナを下すことができた記憶がありますが、ブレーキも錆びれたレバーが1つ、反対側とのコミュニケーションはワイヤーを叩くという超原始的な方法でした。

設置したのは今からおよそ60年ほど前ですが、今の私たちからしたら、300mものワイヤーを空中にどうやって繋げたのか分からないほど凄い設備です。

その当時はみかんの時期になると空をみかんが飛んでいる光景が、日常だったとのこと。しかし今、私たちの地域で使っている人は誰一人いません。

効率や作業のしやすさを求めて、道路から近い畑、車が畑の中に入れる畑だけを残して農業をするようになったからです。

もちろんその選択は悪いことではなく、技術が進歩している現代では当然の選択ですし、そうしていかなくては、農業は発展していかないと思います。

 

 

ただ、先代の方たちは道のない畑を開墾し、みかんの苗木を植え、道から遠い場所でも苦労して設備を作りみかんを運んでいたという事実は決して忘れてはいけないことです。

現代の自分達がいかに恵まれているか。作業のしやすい現代に、昔の人がいたら何と言ったでしょうか?(笑)

恐らく『お前たちはまだそんなもんしかやっとらんのか~』と言われる気がします(笑)

『架線』を見ると、恵まれた環境に感謝しつつ、ハングリーな気持ちを持ち、毎日一生懸命取り組むことが大切だと感じさせてくれます。

架線を知らない世代にもしっかりと伝えていきたいことですね。

 

PS

余談ですが、小学生の頃、度胸試しと言われ、みかんの代わりに架線に乗せられ運ばれたことがあります(笑)おそらく下は50m以上あったので落ちたら確実に死んでいたと思います。(笑)恐怖のあまり、揺らそうとする兄弟にブチ切れた記憶があります。それも現代では到底考えられない事実ですね(笑)